本町通り特集:富士吉田の新しい風景

懐かしさと新しさに出会う、富士吉田の街歩き

本町通り(富士みち)は、富士山を正面に望む景観で知られていますが、昭和の面影が残る街並みとしても注目を集めています。かつて織物産業で栄えたこの地域には、歴史を感じる建物が今も残っており、近年ではそれらの空間を活かしたリノベーションによって、新しい店舗や人が集う場所が生まれています。本特集では、そんなリノベーションによって生まれたカフェやショップ、宿泊施設などを紹介します。古い街並みの中に広がる、新しい富士吉田の魅力をお届けします。

(OvO) Store

本町二丁目交差点にある宮下写真館跡地を改装し、アパレル製品を中心としたお土産を販売している「(OvO) Store」。富士山や西裏など、富士吉田の魅力をデザインに落とし込んだオリジナル商品を展開しています。

当時の照明や什器などを再利用し、写真館の面影を随所に残しています。さらに、写真館に残されていた写真を商品デザインに取り入れるなど、昔の風景と現代のデザインが融合した、ここでしか出会えないお土産が並びます。

ポップなデザインを取り入れながらも、周囲の街並みとの調和を大切にしています。多くの観光客が訪れるようになった本町通りですが、今のにぎわいがいつまでも続くとは限らないという危機感も感じているといいます。「いろんな人にたくさん来てもらえるように、街そのものが強くなってほしい。そのためにも、自分たちがブランドとして成長し、富士吉田に人を呼べる存在になりたい」。そんな思いを胸に、地域の未来を見据え、街とともに成長していく店づくりに取り組んでいます。

Cafe & Bar SHIBA

吉田のうどんや甘味を楽しめる和喫茶「Cafe & Bar SHIBA」。もともと花屋さんとして使われていた建物に改修を重ね、一部は自分たちでDIYしながら、『Cafe & Bar SHIBA』へと生まれ変わらせました。昼は日本の食文化を楽しめる和喫茶、週末の夜はDJブースを備えたミュージックバーとして、富士吉田に新たな交流の場をつくっています。

代表の二人は大学時代に出会い、地元・富士吉田を盛り上げたいという思いと、経営者として挑戦したいという夢が重なり、新たな一歩を踏み出しました。店名の「SHIBA」の象徴は、日本を代表する犬として世界中で親しまれている柴犬。外国人観光客にも地元の方にも親しんでもらえるよう、シンボルとして取り入れています。

富士山を目当てに多くの外国人観光客が訪れる本町通りで、日本の文化や食を体験してほしいという想いから、「吉田のうどん」や自分で焼いて楽しむ「手焼き団子」などのメニューを取り入れています。なかでも吉田のうどんは、市内のうどん店で修業を積んで学んだ、こだわりの一杯です。

世界中から人が訪れる場所を目指しながら、上吉田に息づく歴史や文化も大切に取り入れていきたい。かつて富士講の人々が訪れていた頃のように、宿泊や交流を通して人が行き交い、上吉田ならではの雰囲気が再び感じられるまちになってほしいという想いを胸に、地域に根ざした取り組みを続けています。


KURA HOUSE

本町通りの中心商店街に位置する文化複合施設「KURA HOUSE」。約80年前に建てられた2棟の蔵と、リノベーションされた古民家の3つの空間で構成されています。蔵は銀行の倉庫、民家は社宅として使用されていました。リノベーションの際は、梁や柱をそのまま生かし、床も落とさずに畳の間を残すなど、最小限にとどめることで、当時の趣をできる限り残しています。

2022年には、民家部分をリノベーションした「蔵の台所」がオープンし、平日はカフェ利用(テイクアウトのみ)ができるほか、週末や祝日にはランチ営業やイベントが開催されています。同年には、3階建ての蔵をギャラリーとして再生。展覧会やライブ、映画上映などさまざまなイベントが開催され、アーティストや地域の人々、観光客など様々な人が交流できる場所となっています。

さらに2024年には、もう一棟の2階建ての蔵を活用したセレクトショップ「絹屋商店」がオープン。富士吉田の織物工場によるファクトリーブランドをはじめ、富士五湖エリアや海外で活動する作家の工芸品や雑貨、衣類などを取り揃え、富士吉田の織物文化やものづくりの魅力を発信しています。

東京屋製菓 富士みずほ堂

70年以上の歴史を誇る富士吉田の老舗和菓子店「東京屋製菓」の姉妹店である「東京屋製菓 富士みずほ堂」。職人が昔ながらの製法にこだわり、一つひとつ丁寧に作り上げる和菓子が地元の人々や観光客に親しまれています。

地域活性化を目的としたまちづくりの一環として、本町通りにオープンしました。店舗は、昭和時代から残る旧山一酒店をリノベーション。かつて酒屋として使われていた建物の趣を残しながら、現在は和菓子店として、建物に新たな息吹を吹き込んでいます。酒屋時代の看板もそのまま残されており、細かな文字の装飾や建物の佇まいなど、随所に昭和らしいデザインを見ることができます。

店内には素材にこだわった和菓子が並び、注文を受けてから焼き上げる「富士みずほ団子」や最中アイスなど、街歩きにぴったりのスイーツも楽しめます。

ぬけがけ

上吉田にある居酒屋「魁(さきがけ)」の姉妹店である「ぬけがけ」。観光客も気軽に立ち寄れるよう、店内での飲食に加えてテイクアウトにも対応できる居酒屋としてオープンしました。

レトロな街並みに馴染むよう、外観にもこだわり、かつて電気工事店として使われていた古民家をリノベーション。店内には当時の梁などを活かし、昭和の面影を感じるノスタルジックな空間が広がります。2階からは大きな欅を眺めることができ、趣のある空間で食事を楽しむことができます。

炭火焼きや藁焼きを中心に、注文を受けてから焼き上げる串焼きなどを提供しており、店内中央の焼き台では、ガラス越しに調理の様子を間近で見ることができます。料理の味わいはもちろん、目の前で繰り広げられる迫力ある調理風景を楽しめるのが魅力です。

noi

富士山を背にした赤レンガの外観が印象的な「noi shop & tea stand」。富士山麓の森に自生する樹木やハーブを採取し、蒸留して作るアロマブランド「noi」の実店舗兼製造所です。

ショップでは、アロマスプレーを中心に、ハンドソープ、マルチバーム、ロールオンアロマ、ハーブティーなどを購入できます。また、ティースタンドではハーブティーや「kiki natural icecream」のクラフトアイスクリームを提供しています。クロモジなど富士北麓の植物を使った、ここでしか味わえない限定フレーバーもあります。

この場所は、かつて「旧角田酒店」として地域の方に親しまれてきました。閉店後も、角田家の方々が「店のシャッターを閉めたままにしておくのは、市民の方々に申し訳ない」と、この場所が街の風景の一部であり続けることを大切にされていたといいます。その思いを受け継ぎ、noiがこの建物を新たな場所としてオープンし、本町通りの新たな立ち寄りスポットとなっています。

本町三越

下吉田駅から本町通りへ向かって歩いていくと、最初に出会うのが「本町三越」。季節に合わせたテイクアウトフードをはじめ、ハンドメイドのオリジナル商品や、富士吉田のテキスタイル雑貨などを販売しています。

こちらの建物は、かつて現オーナーのご親族が商店を営んでいた場所です。その当時の店名を受け継ぎ、「オリジナルのものや、ここでしか出会えない良いものを届けたい」という思いから、ハンドメイド作家の作品や、織物商品などの富士吉田ならではの商品を取り扱っています。

中でも注目したいのが、富士吉田のカルチャーや歴史を世界へ発信するスーベニアブランド「FUJIALOHA(富士アロハ)」。富士吉田産のキュプラ生地を使用し、この街の魅力をデザインに落とし込んだアロハシャツを展開しています。こちらも店頭で購入することができます。富士吉田ならではの一着を、旅の思い出として選んでみてはいかがでしょうか。