火祭りの神事を知ろう

二日間にも渡る富士山鎮火祭では本殿祭・諏訪神社祭から還幸祭まで多くの神事が行われます。
どんなことが行われるのかを詳しく解説します。

浅間神社本殿にて、本殿御神霊の諏訪神社奉遷(ほうせん)を願う本殿祭が行います。
この神事には、氏子総代・世話人・富士講・御師団などの人々が約100人も出席します。
26日午後3時ころから始まります。

本殿祭のあと、浅間神社と諏訪神社の神さまに神輿に移ってもらう神事を行います。これを「遷御(せんぎょ)」とよびます。
神社の中から御神霊を移すときには、明かりを消して周囲を暗くします。そして御神霊が人の目に触れないようにするため、神職たちが白い布で周りを覆います。これを「絹垣(きぬがき)」とよびます。
遷御は、まず浅間神社の御神霊が、絹垣で隠されて隣にある諏訪神社に向かいます。ここで、再び神事がおこなわれます。神事が終わると、宮司が浅間神社と諏訪神社の御神霊を絹垣で隠して明神神輿に移します。

遷御を終えた2台の神輿は、諏訪神社の前から出発します。出発の合図は、世話人が出します。
明神神輿を先頭に御山神輿が後に続きます。出発してすぐに諏訪神社のすぐ前にある高天原とよばれる広場に止まって、もう一度出発の神事をします。これが終わると正式な出発となります。

26日午後4時45分頃から行われます。

まさかき台、太鼓、神輿、富士御影、氏子参列者と整えて出立となります。

神社から進む神輿は必ず明神神輿・御山神輿の順となっており、決して追い越したりしてはいけない決まりがあります。御山神輿は休みで止まるときに地面に「ドスン」と三回落とす決まりがあり、荒っぽく担がれるのが特徴です。
日が落ちて暗くなってくると、タイマツが灯される表通りが通行止めとなります。2台の神輿は上宿交差点から休みながらも定められた道順に従い、ゆっくりとした速さで御旅所のある上吉田コミュニティーセンターへと向かいます。

午後6時30分頃に御旅所に到着します。
火の見櫓(やぐら)のご神木に張られた注連縄(しめなわ)を明神神輿の屋根に立つ鳳凰(ほうおう)のクチバシで切って中へと入っていきます。到着後は、着輿祭がおこなわれます。
神輿が御旅所に着いてすぐに世話人たちが御旅所前の11尺の大きなタイマツに火を灯します。その後、世話人たちは通りにある全てのタイマツを立てて、火をつけていきます。また、それぞれの家で積まれたタイマツにも火がつけられていきます。こうして上吉田の表通り沿いを中心に、南北に伸びる一本の火の帯が現れます。
神輿が無事に御旅所に着いたことを祝して隣に作られた神楽殿で太々神楽が舞われます。

神輿が到着するとただちに、冨士浅間神社太々神楽講により太々神楽の奉奏が始まる。神の到着を歓迎する「迎え神楽」と呼ばれ午後九時半ごろまで続く。

27日午後2時、一晩奉安された大神輿、御影の大前で、御旅所発輿祭の神事が行われ、この日の神輿渡御が始まります。
2基の神輿は再び担がれて、休みをとりながら通りを行ったり来たりして午後3時30分頃金鳥居へ向かいます。

午後3時、金鳥居祭が行われます。明神神輿は金鳥居のすぐそば、通りの真ん中にまわりを注連縄で囲って置かれます。
御山神輿は金鳥居交差点の真ん中に置かれます。ここでの神事を境に、神輿は還御の途(帰路)につきます。

金鳥居祭が終わると、神輿は二手に分かれて進んでいきます。明神神輿は金鳥居交差点から東へ進んでから引き返し、御山神輿は西へ進んで富士山駅の前を進んでいきます。
2基の神輿は、4時30分頃、金鳥居公園前で合流して浅間神社へ向かって進んでいきます。途中、西念寺の近くを通るときに前の日と同じく西念寺の住職がお経を唱えながら神輿を見送ります。
上宿交差点までくると神輿は長い休みを取ります。その後、明神神輿だけ西の方へ進んでもどってきて休みます。

上宿交差点付近の2つの神輿は、午後6時20分頃になると一気に動き出します。神輿は神社に直接向かわずに「御鞍石(おみくらいし)」とよばれる神聖な大きな石のある所をめざします。
昔、この石は諏訪の祭神が祀られていた旧社と伝えられるところです。
到着した明神神輿はこの石の上に東側を向いて注連縄をまわりにはって置かれます。御山神輿は、御鞍石のそばの地面に東側を向いて置かれます。
この神事が終わるといよいよ浅間神社へと向かいます。

御鞍石での神事が終わると浅間神社の西側にある松の木の前で謡(うたい)を読みあげます。
この謡が終わったことを合図にして2基の神輿が神社へと戻っていきます。御鞍石と松の木は距離があるため、謡が終わったときに出される提灯(ちょうちん)を左右に振る合図を見逃さないように世話人は注意して見守ります。
合図を受け取ると明神神輿を先に御山神輿が続いて神社の境内へと入っていきます。

浅間神社の境内にまず、明神神輿が勢いよく境内に流れ込み、高天原を7周廻ります。
3週目に御山神輿も列に加わります。神輿の後に続いてすすきで作られた玉串を持った氏子、参詣者が高天原をグルグルと回ります。
この祭り(すすき祭りともいう)には、女性が多く参加します。これには理由があり、女性はお神輿を担ぐことが出来ない代わりに参加するためともいわれています。また、安産や子育てのご利益を受けるためともいわれています。

巡航を終えた2基の神輿は高天原に置かれます。神輿を担いできたセコたちは一斉に神輿から離れます。
そして、周囲の明かりが消され、神輿を絹垣で囲って神輿から御神霊を本殿に戻す「遷御」がおこなわれます。最初に諏訪神社の御神霊を移します。
続いて浅間神社の御神霊が移されます。この遷御の神事が終えて御神霊が神社の中に帰ると火祭りも終りとなります。

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