吉田口登山道を歩こう!【馬返し~吉田口五合目編】
昔の富士山信仰の名残を数多く見ることができ、自然の中を登ることができる約3時間半のコース。
吉田口五合目から富士スバルライン五合目へ行けば、路線バスで富士山駅へ行くことも可能。五合目から山頂に登るよりも負荷もなく、老若男女みなさんで楽しめるコースです。
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馬返し

標高1450mにある富士山吉田口登山道の中継地点
  • 馬返し
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世界遺産富士山の構成資産「吉田口登山道」の拠点として多くの登山者に親しまれている馬返しは富士山の標高1450mに位置する富士登山の中継地点です。
 馬返しは字の如く、「登山路で道が険しくなり、乗ってきた馬を帰して徒歩に変わる地点」とされてきました。また“四つ足”である馬は神聖な富士山へは登らせないとも考えられていました。馬返しの象徴的な石造鳥居の両脇には合掌する猿の像が配置されています。富士山の伝説の一つに富士山が一夜にして湧き出たというものがあり、その年が庚申(かのえさる)の年であったことから猿が富士山の使いとして認識されるようになっています。
徒歩3分
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馬返し 鳥居

富士山の鳥居には猿がいます
  • 馬返し 鳥居
馬返しの象徴的な石造鳥居で、鳥居手前の両脇には合掌する猿の像が配置されています。
富士山の伝説の一つに富士山が一夜にして湧き出たというものがあり、その年が庚申(かのえさる)の年であったことから猿が富士山の使いとして認識されるようになりました。

この鳥居をくぐった先には「富士山禊所」の石碑が立っており、文字通り登山者が神聖な領域へここから更に入山していく前に禊(みそぎ)を行った場所です。この禊所は大正年間に建てられたと記録が残っています。
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木々の中の登山道
この先は登りがきつくなり始めますので、足元もしっかり準備して出発しましょう。
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馬返しから徒歩15分
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一合目 鈴原社

1840年代に建てられた建物が現存
  • 一合目 鈴原社
一合目(標高1,520m)には鈴原社という社があり、16世紀には鈴原社という名前でこの地に社があったことが分かっています。
ここで奉られていたのが大日如来で、富士山の神様、浅間大菩薩の本地仏とされています。安置されていた大日如来像は現在富士吉田市の上吉田の御師のお宅に安置されています。
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二合目目では約30分
登山道が整備されています。
登山道の途中にある石が木の枠に詰まっているところは“浸透桝(しんとうます)”といって、雨などが降って水が流れたときに登山道を侵食しないように水を地面に浸み込ませるためのものです。富士山は噴火によりできた山で、削れやすい土壌を守る工夫です。
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レッキス小屋(跡)

  • レッキス小屋(跡)
一合目~二合目の途中に、昭和初期に建てられたレッキスという名称の山小屋の跡も残っています。
レッキスとはカルピスに類似した飲料でこの小屋で販売されていたそうです。
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二合目直前には、「二合目一ノ鳥居」として木造鳥居の跡を見ることができます。
この先の御室浅間神社に対する最初の鳥居という意味であり、ここからが御室浅間神社の境内地であるという認識があったようです。
一合目から徒歩30分
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二合目 御室浅間神社

  • 二合目 御室浅間神社
この二合目には富士御室(小室)浅間神社が祀られています。
昭和47年にこちらにあった本殿は冨士河口湖町勝山にある里宮に移築され、現在は画像の拝殿のみが残っています。
昔はこちらを「上浅間」、麓の北口本宮冨士浅間神社を「下浅間」と呼んだそうです。

神社本殿は1612年にはこの地に存在していたことがわかっており、平安末期から鎌倉時代の初期には既にお像が祀られたりしていたということもわかっています。
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御釜(おかま)

はるか遠くまで続いているという伝説も。
  • 御釜(おかま)
二合目を過ぎた先の「御室浅間橋」のすぐ脇の沢に「御釜」と呼ばれる溶岩に穴があいた穴があります。この穴は、はるか遠くのどこまでも続いているとの伝説もあります。
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金剛杖(こんごうつえ)役場

  • 金剛杖(こんごうつえ)役場
御室浅間神社を過ぎ、しばらく登ると平坦地があります。ここは「金剛杖(こんごうづえ)役場」があった場所です。
ここでは昔、役銭場として八文が徴収され、その中に金剛杖の購入代金も含まれていたそうです。

金剛杖は、古来より病気に効くとされていて、登山に使用した杖の影を井戸に映して、その水を病人に与えると回復すると信じられていました。
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林道との交差点でトイレ休憩
三合目の手前で、細尾野林道と交差しますが矢印の通り、登山道を250mほど登れば三合目に到着します。
仮設トイレが写真手前の場所に5月~10月の期間のみ設置されます。
二合目から徒歩20分
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三合目 中食堂(ちゅうじきどう)

  • 三合目 中食堂(ちゅうじきどう)
昔、三合目は早朝にふもとから登山を始めて、ちょうど昼食をとることが多かったため、「中食堂(ちゅうじきどう)」もしくは「三軒茶屋」とも呼ばれていました。
麓を見渡すことができ、休憩しながら気分転換にちょうどいい場所です。

画像の建物は三社宮の跡で【道了(どうりゅう)・秋葉(あきば)・飯綱(いづな)】が祀られていました。
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四合目までは約25分
三合目を過ぎると勾配が急になってきます。富士山の地層が剥き出しになっている箇所もあります。
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四合目 大黒小屋(跡)

標高2,000m超。ゆっく慌てず五合目を目指しましょう。
  • 四合目 大黒小屋(跡)
四合目(2,010m)に到着です。いよいよ2,000mを超えました。
ここには大黒小屋という上吉田の御師大黒屋所有の茶屋が一軒と、大黒天をお祀りしていたお堂がありました(現在は大黒天像は里に下ろされています)。
四合目から徒歩15分
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四合五勺 御在石浅間神社

  • 四合五勺 御在石浅間神社
四合五勺には御座石浅間の社と井上小屋跡が横に並んでいます。吉田口登山道(麓~五合目まで)の小屋跡としては、比較的きれいに現存しています。
宿泊する山小屋と神社が一体となった建物です。
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御在石

神が宿るといわれる大きな岩
  • 御在石
御座石浅間の建物跡の左側には大きな岩壁があります。この地が御座石(ございし)といわれる所以はこの岩壁にあります。御座石とは神が依りつく石という意味があるとされ、昔から信仰の対象でもありました。この御座石の岩の上に神様が祀られていましたが、その後隣の御座石浅間の祠に移され、現在は里へ下ろされています。
ここでも富士講が奉納した石碑や、岩に掘り込まれた文字“日本橋”などが目にすることができ、信仰のようすを目にすることができます。
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小屋の跡が点在
四合五勺を過ぎ、五合目までの区間にも昔は数軒の山小屋が点在しており、現在でもその跡を見ることができます。ここは、「五合目桂屋」があったところで、ここは現在五合目で営業している佐藤小屋ができる前の冬山登山の拠点になった小屋でした。過去に有名な登山家も富士山で訓練をする際にこの山小屋を利用したそうです。
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登山道の様子が変わってきます。
五合目近くになってくると溶岩が突出したような登山道になってきます。足をくじかないよう気をつけてゆっくり登りましょう。
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五合目直下 中宮(ちゅうぐう)

  • 五合目直下 中宮(ちゅうぐう)
ここは富士山の中腹に祀られた社「中宮三社」があったことから、そのように呼称されていました。また、ここには「中宮役場」があり、「山役銭(やまやくせん)」という122文の入山料を回収する場所でもありました。入山料は登山前の御師によるご祈祷代や、杖の代金、役行者堂での護摩代や、九合目にあった石垣の橋の修繕費などの費用に充てられていました。
その後、ふもとの金鳥居(富士吉田市上吉田)で入山料を前払いで一括で回収し、領収書として「登山切手」が発行される仕組みになると、中宮役場はその登山切手を改める場になりました。
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中宮を通過後しばらくして、滝沢林道へ通ずるこの石階段が見えてきたらラストスパートです。
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滝沢林道に交差したら、道なりに少し登ります。
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滝沢林道は登山道を分断するように通っているため、5合目まで続く登山道にもう一度入る必要があります。
滝沢林道を登って進み、右側にこの建物が見えてきたら、登山道に再び戻る目印と覚えておいて下さい。これは「富士守稲荷」で、この近くの場所にこの稲荷社、大日社、浅間社をお祀りしていた「中宮三社」のお社がありました。武田信玄は娘が病気をした際に、この中宮に願文を出したとされ、信玄も信仰していた神社でもありました。
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中宮三社があったとされる場所です。
この周辺には中世の穴あき銭が落ちていることもあり、賽銭を当時の人々が投げ入れていたことがうかがい知れます。
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富士守稲荷の脇を再び登山道に入るとすぐに舗装道路にぶつかりますので横断して、五合目の佐藤小屋を目指します。
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佐藤小屋へ続く道です。
四合五尺から徒歩で30分
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吉田口登山道五合目

吉田口登山道のちょうど中間地点。登山道最初の山小屋「佐藤小屋」があります
  • 吉田口登山道五合目
  • 吉田口登山道五合目
  • 吉田口登山道五合目
  • 吉田口登山道五合目
富士山吉田口登山道の基点である北口本宮冨士浅間神社から、山頂へ向かう道中、標高約2,300m付近が吉田口五合目。森林限界に近いこの辺りでは樹木の影が薄くなり眼下の景色を楽しみながら登山をすることができます。また、吉田口五合目には佐藤小屋という山小屋があり、食事をしたり、飲み物を買う事はもちろん、宿泊することもできます(要予約)。富士山頂まではまだまだ先が長いので、こちらで一息休んでいきましょう。
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佐藤小屋

吉田口五合目で唯一の通年営業。
  • 佐藤小屋
吉田口登山道を麓から登ると立寄り必須の山小屋。この小屋周辺は、室町時代には「中腹に祀られた三つの社(浅間社・稲荷社・大日社)」を意味する地名「中宮」と呼ばれていました。
標高2,230mにて通年営業をしており、冬季でも宿泊可能(要予約:営業日は要確認)となっており、冬山・雪山トレーニングや救助基地等の重要な役割も。また、富士登山競走の五合目コースのゴールはこの山小屋のすぐ前となっており、富士登山競走の練習で立寄る方も多い。
富士スバルライン有料道路の『富士スバルライン五合目』と佐藤小屋周辺の『吉田口五合目』を混同して間違えることが多いので、要注意。
春や秋は、夏の喧騒や冬の危険もなく、心静かに自然を感じながら麓からの登山を楽しむことができます。

(出典:富士山吉田口環境保全協議会 山小屋だより)
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里見平☆星観荘

吉田口六合目唯一の山小屋
  • 里見平☆星観荘
標高2,325メートル、吉田口登山道(吉田ルート)六合目に位置し、富士山が女人禁制だった明治以前、60年毎の御縁年(庚申の年)の年のみ女性が登ることができた「経ヶ岳」のこの小屋の少し上にある。
山小屋の名前は、現在の主人が幼い頃に小屋から見上げた星に想いを馳せて名づけられた。当時の灯りはランプの灯りのみで、麓のまちの灯りも少なく、星空はとても美しかったとのこと。
現在も、宿泊用ベットには星座の名前を冠し、天体望遠鏡を完備するなど星空への想いが感じられます。

(出典:富士山吉田口環境保全協議会 山小屋だより)
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富士スバルライン五合目に行けばバスで下山も。
五合目までの登山の場合は富士スバルラインまで徒歩40分。富士山駅・河口湖駅行きの路線バスがある。
なお2024年7月より県有登下山道を使用して、スバルライン5合目ゲートから出る場合には通行料2,000円がかかります。
詳細は富士登山オフィシャルサイトをご覧ください。

吉田口五合目と富士スバルライン五合目を結ぶ道を“小御岳道(こみたけみち)”という。
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